家づくりの疑問解消FAQ FOR BUILDING A HOUSE
資金計画
住宅ローンを複数の金融機関に申込する事は可能ですか?
申込みは可能だが、どのようなリスクや責任があるのか確認し、手続きや条件を理解し進めることが大切です
住宅ローンを受けるまでの流れ
金融機関から住宅ローンの融資を受けるには最初に「事前審査」を受ける必要があります。これは申込者の信用調査(与信)が主な目的で、「事前審査」に問題が無ければ金融機関から「融資承認」を受けることができます。言わば、住宅ローンを借りる予約ができたという状態がこの「融資承認」です。「融資承認」の有効期間は概ね1年なので、その期間内に「本審査」を受け、問題が無ければ「金銭消費貸借契約」を締結して融資を受けるようになります。ちなみに「本審査」は「事前申込」の内容に変わりがないかの確認と、住宅取得にかかわる詳細(建設地情報や建築物の見積の内容等)の確認が目的となっています。
複数の金融機関からの借り入れする場合に必要な事と注意点
住宅ローンを複数申込するということは「事前審査」を複数の金融機関に申し込むということになります。希望する金融機関が複数あれば、それぞれに「事前審査」の申込をしなければなりません。金融機関側としても「事前審査」に通った方にしか融資をすることができませんから、融資を希望される方は「事前審査」を受けてもらうことを勧められます。ただし、「事前審査」には銀行が必要とする書類の提出と個人情報の提供、窓口で直接手続きをおこなう必要がありますので、複数の金融機関に申し込む場合には、それだけ手間と時間を費やすことになります。現実的には候補を2~3行に絞り込んで「事前審査」を受けるのが望ましいと思います。
注意する点として、金利が安いことを最大のメリットとしているネット系の金融機関については、「事前審査」の手続きもネットで簡単にできるようになっているものが多いのですが、「本審査」の段階になってから、融資の否認や減額、条件の変更がされるというトラブルが時々見受けられます。理由は様々ですが、対面では無いからか条件の確認不足、解釈の違いから起こっているようです。実際、「本審査」の段階から後戻りするのはかなり大変な作業になりますので、検討する折には十分気を付けるようにして下さい。
金利だけではなく他の要素も判断材料に
住宅ローンを借りる金融機関は自由に選択することができるので、複数申込をすることは可能です。実際、複数の金融機関に申込みをして検討されている方も多いと思います。住宅ローンは、多額の金銭を借り長期間かけて支払い続けていくというものです。借入の契約に至る手続きも複雑で、素人には中々理解しにくいことも多いと思います。申込みの段階からどのようなリスクや責任があるのかを確認し、手続きや条件を理解したうえで進めていく必要がありますし、金融機関とも長く付き合っていかなければなりませんから、窓口の対応や手続きの丁寧さなども判断の要素にして総合的に選択をしていくことが必要だと思います。
教えてくれた人
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宅地建物取引士・公認不動産コンサルティングマスター 住まいコンシェルジュ
中川 雄二
住宅産業に従事して30年。2006年にはエンドユーザー向けに「住まいづくりのコンサルティング」をおこなう会社を立ち上げました。私が得た知識と経験を皆さんの住まいづくりにどうぞ生かしてください。
2022.05.18 掲載