家づくりの疑問解消FAQ FOR BUILDING A HOUSE
初心者の疑問
最近の家は窓が小さかったり少なかったりしませんか?
窓が小さくなっているのはなぜ?
最近の家はたしかに窓が小さく少なくなっています。
理由として考えられる一つに「省エネ」、「高耐震」があります。
「省エネ」に関しては、地球環境の変化から国の基準も幾度となく改訂され、本年4月からは全ての住宅に高い省エネ性能を求めることが義務化されることになっており、また、「高耐震」については、我が国ではここ30年内に震度7以上の大地震が4回も発生し、今後30年内に80%の確率で「南海トラフ大地震」も予想されており、エンドユーザーが耐震性を重視した設計を求める傾向が強くなっています。
国もエンドユーザーも求める「省エネ」と「高耐震」、これらを両立するための延長線上に、窓を小さく少なくし、壁・柱を多くする設計があります。というのも、省エネ性を高めるには室内の熱を外に逃がさない工夫をすることですが、住宅における熱損失の7割が窓であり、窓を高断熱化するか、小さく少なくすることが設計上合理的だからです。「高耐震」もしかりで、耐震性を高めるには壁や柱を増やすことが必要ですから、結果として窓が小さく少なくなる傾向になります。
加えて、時代背景や住環境が変わってきたことも影響していると思います。
様々な社会問題から年々防犯やプライバシーを重視する考えが強くなっており、防犯性を高めるために外部と接する窓を小さく少なくしています。また、プライバシー確保の為に窓を小さく、外から見えない場所に設置するようになります。加えて、昨今のインフレで高騰する建設費のコストダウンを図るために、高価となる高断熱性能の窓を極力少なくするような設計になっているように感じます。
窓が小さくなっているのは、時代背景や住環境の変化によるもの
様々な要因が複合的に絡み合い、結果として最近の家は相対的に窓が小さく少なくなっているのです。一昔前までは、日本の暑い夏をいかに涼しく過ごすかを考え、窓はできるだけ大きく、少しでも風通しの良いように多く取る設計でした。技術革新が進み、便利で快適な生活を過ごせるようになった反面、それに伴う地球環境や生活環境の変化が住宅の設計に影響を及ぼしているのです。
新築住宅を見れば、我々が直面している課題を知ることができるのかも知れません。
教えてくれた人
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宅地建物取引士・公認不動産コンサルティングマスター 住まいコンシェルジュ
中川 雄二
住宅産業に従事して30年。2006年にはエンドユーザー向けに「住まいづくりのコンサルティング」をおこなう会社を立ち上げました。私が得た知識と経験を皆さんの住まいづくりにどうぞ生かしてください。
2025.02.03 掲載