家づくりの疑問解消FAQ FOR BUILDING A HOUSE
初心者の疑問
高気密・高断熱の省エネ基準はどんなもの?
省エネ住宅の基準とは?
省エネ住宅にするための高気密・高断熱は今や当たり前の時代となっています。地球規模の温暖化の問題も絡み、住宅の省エネ基準も何度も見直され今に至りますが、現在の最新の省エネ基準は2022年4月より「改正省エネ法」として施行されています。省エネ基準は素人には中々理解しにくい基準ですができるだけ簡単に解説します。
省エネ住宅の基準には「外皮性能基準」と「一次エネルギー消費量基準」の2点があります。
「外皮性能」とは家全体を覆う屋根・壁・窓・床の省エネ性能(断熱)のことですが、断熱性能を数値化したものを「UA値(外皮平均熱貫流率)」といい、「地域区分」により定められた「UA値」の基準値以下の数値にすることで省エネを評価します。
次に「一次エネルギー消費量」ですが、基準水準として「BEI(Building Energy Index)」という指標を使います。「BEI」は実際に建てる建物の「設計一次エネルギー消費量」(住宅設備機器や給湯設備などの機器が消費するエネルギー)から、地域や建物条件などにより定められている「基準一次エネルギー消費量」で除した値であり、「一次エネルギー消費量基準」に適合となる数値は「1.0」以下、すなわち「BEI≦1.0」ならば省エネ基準を満たしていると評価します。
その他の省エネ基準を上回る基準は、省エネ基準を超え低炭素化に資する措置を講じている「低炭素建築物の認定基準」では「BEI≦0.8」、年間300戸以上供給する事業者に対してエネルギー消費量を抑えるための努力義務を定めている「トップランナー基準制度」では「BEI≦0.75」となっています。つまり、省エネ基準のグレードは「BEI」により示されますので、この「BEI」値を目安として省エネ性能を確認することができるのです。
2025年、2030年の省エネ基準改正について
「改正省エネ法」により2025年からは住宅を含むすべての建物について省エネ基準が義務化されます。また、2030年には義務化水準が「ZEH」基準レベルに引き上げられ、建築物の省エネ対策が本格化していきます。高気密・高断熱の省エネ住宅にするには相応のコストが掛かりますが、光熱費を抑えるだけでなく冬場の起こるヒートショックや結露によるカビの繁殖も防ぐことが期待でき、また、健康で快適な住環境と長持ちする住宅を生み出してくれることは間違いありません。国による減税措置や補助金の支援策、住宅ローンの優遇金利などを有効活用して、将来に向けた省エネ住宅を検討してみて下さい。
教えてくれた人
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宅地建物取引士・公認不動産コンサルティングマスター 住まいコンシェルジュ
中川 雄二
住宅産業に従事して30年。2006年にはエンドユーザー向けに「住まいづくりのコンサルティング」をおこなう会社を立ち上げました。私が得た知識と経験を皆さんの住まいづくりにどうぞ生かしてください。
2023.06.19 掲載